2017年6月4日日曜日

「不道徳な見えざる手」

ジョージ・アカロフ、ロバート・シラーの「不道徳な見えざる手」を読みました。原題は”Phishing for phools”。Phishingは一般的に使われている造語らしいけど、phoolsは完全な造語。これを「不道徳な見えざる手」という邦題にしたのは「神の見えざる手」に対するもので、なかなかうまい邦題だと思いました。カモ(phools)は、誇張、歪曲、隠蔽、水増しなどで、うまいこと釣られてしまう人のことです。

米国amazonでの書評が今ひとつなように、帯の「ノーベル賞授賞者による衝撃作!」は大袈裟です。


私が20年以上前から言っていることですが、カモは資産運用と医療に多い。カモを釣るには、カモを釣る人を育成しなけばなりません。金融機関や製薬会社が組織的にカモを釣る人を育成していることは言うまでもありません。しかし、育成された末端のカモ釣りでそれを自覚している人はごく一部で、大部分はその自覚なく、洗脳されています。

洗脳されたカモ釣りは、カモ(資産運用では個人投資家、医療界では医師)を釣りに営業します。個人投資家ではカモられてしまう人が大部分でしょう。医師でも、多忙な開業医などは、元の論文を読むことなく、MRの言うことをそのまま信じてしまうでしょう(その医師の診療を受ける患者も被害者ですが、実害はまずありません)。

一方、末期癌などに罹患していて藁をもすがる思いの患者は、医学的根拠のない怪しげな民間療法にはまりやすいので、被害は深刻です。怪しげな民間療法をしている医師は、本当にそれを信じて行なっている確信犯か、あるいは最初から金儲けが目的なのかの判別が難しいですが、どちらにしても患者にとっては、いいことではありません。

投資商品も同様です。大手金融機関も、個人からお金を巻き上げようとあの手この手を考えていますが、「富裕層向けの資産運用」を謳っている投資会社も怪しさ満点です。