2015年9月15日火曜日

IBMの思い出

バフェットが、現時点でお気に入りのIBMのことについて、少し書こうと思います。

もう20年ぐらい前の話ですが、私は日本IBMの某事業所の嘱託産業医で、週2回日本IBMに行っていました。驚いたことに、その時の米国IBMの副社長の一人は、産業医でした。産業医を副社長にする目的は、産業医学的な視点から労働生産性を高めることと、当時頻発していた労働訴訟から会社を守ることでした。これはIBMだけに限った話ではなく、米国のグローバル企業では決して珍しいことではありませんでした。

その米国IBMの副社長である産業医が、私が産業医をしている某事業所に来た時の話です。副社長が視察して指摘した点は2点。

第一は、薬などを患者(社員)に渡す窓口に、なぜガラスの壁がないのかということでした。 「社員と言っても、信頼できない。中には、頭のおかしい社員もいるだろう。その人が、窓口を乗り越えて、中に入ってきたら、どうするつもりだ?」。

第二は、「頭がおかしいかもしれない患者(社員)が、医師と面談中に、拳銃か刃物で暴れたらそうするのか?」ということでした。

すぐに窓口には、JRの駅の窓口のようにガラスがはめられました。また、医師が面接する診察室の机の下には、守衛室に連絡する緊急ブザーが設置されました。

当時の私は、米国の危機管理の意識の高さに、我彼の差を見たものでした。